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――俺は、何をしているんだろう。 「京ちゃんも、来年は一緒に頑張ろう?」 ――みんな、頑張ってるのに。 「ま、タコスの恩は返すじぇ」 ――俺は、こんなところで。 「……私も、協力しますから。今までのお礼を」 ――みんなに、手間を。 「安心せい。時間はあるからな、とことんやろう」 ――俺は。 「……今までは、何もできなかったから。せめて、これぐらいはやらせて?」 ――俺は。 「あの、先輩?」 ――駄目、だ。 「須賀くん」 手を握られている。温かい。 聞き覚えのある声だけど、誰かは思い出せない。 目を開いて確認するのも億劫だ。 「ごめんね。私の、せいだよね」 謝れている。わからない。 思い出せない。誰だろう。 この人は、何で悲しそうなんだろう。 「……私は、側にいるから。何も出来ないかもしれないけど」 口を開くことも出来ない。 「だけど、せめて……私は、私たちは」 頬に何かが伝う。 「ずっと、側で」 それが何かは、やっぱりわからないけれど。 「待っているから。あなたのことを」 ほのかに、あたたかいと、おもった。 【病んだ京ちゃんと彼女たちと】
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京太郎は、タコスの売店という普段中々目にしない物の珍しさに引かれて。 ネリーは、お腹が空いたので何を食べようかと迷いながらぶらぶらと道を歩いて。 「ん?」 「お?」 そうして、たまたま道ですれ違っただけ。 互いに名前も知らない、普通なら通り過ぎて終わるだけの、出会いとすら呼べないもの。 ただ、この二人にとっては。 「んー?」 「むー?」 お互い、何か。 感じるものが、あったようだ。 ネリー判定直下 1~30 どこかであった気がする? 31~60 何だろ、胸のあたりが…… 61~98 ……これって、まさか? ゾロ目 ??? 何だろ、胸のあたりが…… 「じゃ、キョータローは引っ越してきたんだ?」 「そうだな。親の仕事の都合で、家族で纏めてこっちに来たんだ」 「ふーん……」 小さな口でタコスを一生懸命に頬張るネリーを横目で見ながら、京太郎は既視感のようなモノを覚えていた。 この少女――ネリー・ヴィルサラーゼと自分は勿論、初対面である。 だというのに、何処かでネリーに会ったような気がするのだ。 ネリーもこれが初対面だと言っているし、そんなことは有り得ないのだが――例えるならば、前世からの因縁のようなものを感じる。 ……こんなことを言ったら電波扱いされるので、口に出すことは絶対に出来ないが。 「むぐむぐ」 そして、京太郎にタコスを奢ってもらったネリーも、似たような感覚を小さな胸に抱いた。 ――何だろ、胸のあたりが……。 デジャヴュとでも呼ぶべきか、自分はこの男に昔に出会ったことがあるような。 何となく、ザワザワする。 「あぐあぐ」 だけど、このざわめきは、それほど嫌なものではない。 このタコスも中々に美味しいし。むしろ良い。 「じゃ、またね」 「おう。またな」 一緒のタイミングでタコスを食べ終えて、ベンチから立ち上がる。 約束をした訳じゃないし、メールアドレスも互いに知らない。 それでも、きっと、また会える。 そんな確信めいた予感を、互いに抱いた。 ◆ ――参りました。まさか、こんなに降ってくるなんて……。 降りしきる雨の中、傘も差さずに帰路を急ぐ少女。 郝慧宇。中国からの留学生である。 「天気予報、見とけばよかった……」 後悔しても、雨脚は弱くなるどころか時間が経つにつれて段々と勢いを増していく。 走っているうちに、人がいないバス停を見付けて、ハオは一先ずそこで雨宿りをすることにした。 小さいが屋根の付いたバス停。次のバスが来るまでにはまだ時間がかかる。 気休め程度ではあるが、このままズブ濡れで走って帰るよりはここでバスを待った方がいいだろう。 「ふ……くしゅっ」 冷えているせいか、くしゃみが出た。 ぶるりと身が震える。帰ったらしっかり温まらないと。 ポタポタと髪から垂れる雫を鬱陶しく感じて髪を払うが、水気を拭い去ることはできい。 「あの……これ、使いますか?」 そして、不快感に眉を寄せながらバスを待っていたら。 いつの間にいたのかは分からないが、見知らぬ金髪の少年が、バックからタオルを取り出して差し出してきた。 ハオ判定直下 1~30 あ、どうも 31~60 ありがとう、ございます 61~98 良い匂いがしますね…… ゾロ目 ??? 良い匂いがしますね…… 見知らぬ相手だが、この状況ではその好意が素直に有り難い。 礼を言ってタオルを受け取り、顔を埋める。ふわりとした柔らかい感触が心地良い。 「良い匂いがしますね……」 「そ、そう?」 続けて髪を拭き、垂れてくる雫を払う。 さっきまでバックに仕舞われていたのだろう。この雨の中でありながら程良く乾いていたタオルは、水気を十分に吸い取った。 「ありがとうございます。この礼はいつか必ず」 「いや、そんな大したことは」 「いえ。かなり、助かりましたから」 中国美人。顔の整っているハオの今の状態は、まさしく文字通りに『水も滴る良い女』というものである。 そんな美少女にまっすぐ見詰められて、金髪の少年は頬を少し赤く染めて。 その様子を見たハオは、もしかして風邪を引いてしまったのだろうかと、少し心配に思った。 「あの、ハオさん?」 「呼び捨てで構いませんよ。同じ年齢のようですから」 帰りのバスの中。 バスを待っていた二人は、短い時間の間にすっかり打ち解けていた。 そして時間帯に加えて、このような雨の中では客も少ないのか、バスの乗客は京太郎とハオの二人しかいなかった。 「あ、あぁ……それじゃ、ハオ」 「はい?」 「その……近く、ないか?」 「そうですか?」 だと言うのに、吊革を掴んで立って並ぶ二人の距離は、肩と肩が触れ合いそうな程に近い。 京太郎がそっと一歩だけ横にズレると、無意識にハオも同じ分だけ横にズレる。 そんな事が何度か繰り返されて、いよいよ少し恥ずかしくなった京太郎が声をかけたのだが、ハオは特に気にしていないようだった。 「あぁ…すいません、濡れてしまいますね」 「あ、そういうわけじゃないんだけど。もうそんな水気はないし」 「……では、このままで」 どうやら、目的地に着くまではずっとこの距離感のようである。 悪くはない、むしろ京太郎にとっては喜ばしい状況だが、何処となく恥ずかしい。 妙に良い匂いがするのは、すぐ隣にいるハオのせいだろうか。 京太郎は、なるべくハオの顔を見ないようにしながら、帰りのバスの中で揺られていった。 「……」 そして、ハオも。 京太郎と同じようなことを、考えていた。 さっきのタオルも良い匂いがしたが、彼の「匂い」もどこか安心する。 このまま離れるのが勿体無い。 ハオは、京太郎から受け取ったタオルを、ぎゅっと握り締めた。 「……眠れん」 京太郎は深夜に、目を覚ました。 布団を被り直し、目を閉じて眠りに着こうとしても―― 『良い匂いがしますね』 はっきりと鮮明に覚えている微笑みが、眠気を覚ましてしまう。 オマケに布団で悶々としていると空腹感まで出て来た。 再び寝付けるようになるまでは、かなりの時間がかかるだろう。 「……よし」 京太郎は布団から出ると、ジャケットを羽織り、財布を掴んでこっそりと家を抜け出した。 手軽なものでも食べて気を紛らわせようと訪れた近所のコンビニ。 ちょうど、棚の上で最後の一つとなっていたカップラーメンを手に取った京太郎だが、 「オゥ……マイガッ……」 すぐ後ろから聞こえた声に振り向くと、自分と同じように手を伸ばしていた外国人の女性と目が合った。 しかもまるで、この世の終わりのような顔を浮かべている。 「あの……」 「……ハイ?」 「コレ、いりますか?」 ダヴァンさん判定直下 1~30 サンキューベリマッチ! 31~60 ロンオブモチ! 61~98 ナイスアイディア!! ゾロ目 ??? ナイスアイディア!! ――なんで、こんなことに? 「これが同じカマのメシを――というヤツでスカ」 「いや、違います。絶対」 この女性が突然、「ナイスアイディア!」と叫び出したから、一体何かと思えば。 コンビニの隅の食事コーナーで、一つのカップラーメンを二人で食べるという状況。 恥ずかしい、というよりわけが分からない。 「限定品とか何トカ。やはり、二人で食べた方が美味しいでスネ」 しかし、このキラキラ光る目をを前にしては、席を立つという選択も選びにくい。 「~♪」 余程カップラーメンが楽しみなのか、目の前の女性は鼻歌まで口遊んでいる。 これがカルチャーギャップってやつか? 京太郎は少しズレた思考を浮かべて、割り箸を割った。 ――美味しそうでスネ、本当ニ。 ――♪ 何もない休日に京太郎が散歩をしていると、ほんの一瞬だけ強い風を感じた。 不自然な強い風に煽られ、立ち止まって乱れた髪を手で整えていると、微かに歌声のようなものが耳に届いた。 「……何だろう?」 疑問符が頭上に浮かぶ。 どうせ用事もないのだし――ということで、京太郎は声の聞こえてくる方向に向かって歩き出す。 ◆ 声のする方へ歩いていくと、小さな公園の真ん中で一人、雨も降っていないのに傘を広げている女の子がいた。 傘をクルクルと回して、大きく口を開けて歌を歌っている。 遠目から見ても可愛らしい容姿をしていて、ほんの一瞬見惚れたが―― ――Ah! ça ira, ça ira, ça ira! ――les aristocrates à la lanterne! ――Ah! ça ira, ça ira, ça ira! ――les aristocrates on les pendra! 「……見た目によらず、随分と……」 聞き慣れない音から察するに英語ですらないようで、歌詞の意味は分からない。 が、可愛らしい容姿に反して、非常に勇ましく歌い上げている。 「――!」 京太郎が呆気にとられていると、女の子がクルリと振り向いて。 京太郎と、目が合った。 明華判定直下 1~30 その時、そよ風が吹いた 31~60 その時、強風が吹いた 61~98 その時、突風が吹いた ゾロ目 ??? その時、突風が吹いた ――その時、突風が吹いた。 「うわっ!?」 砂埃が巻き上げられて視界が封じられる。 強烈な風を全身て感じて、立っていられずに体勢を崩す。 そのまま受身も取れずに地面に叩きつけられそうになって、 「大丈夫ですか?」 「……え?」 さっきまで歌っていた女の子に、支えられた。 「怪我はないみたいですが……」 「あ……あ、うん」 背中からじっと、顔を覗き込まれている。 ……冷静に考えれば、京太郎と女の子の位置関係からして、この状況は不可解なものがあるのだが。 突然のことで頭が上手く回らなかった京太郎には、目をパチクリさせることしか出来なかった。 「ご、ごめん。すぐに――あれ?」 「まぁ」 腰が抜けてしまったようで、力が入らず立ち上がれない。 それどころか、女の子に自分から寄り掛かるような体勢になってしまった。 「ほ、本当にごめん! わざとじゃないんだ!」 「……ふふ」 「腰が抜けちゃったみたいで、悪いんだけどそこのベンチまで――」 ぎゅっと、母親が子供を抱きかかえるように。 両腕を回されて、胸に抱きかかえられる。 「……へ?」 「――Ah! ça ira, ça ira, ça ira!」 「えぇ!?」 身動きの取れない京太郎を抱きかかえて。 そのまま、それが当然であるかのように、女の子は再び歌い始めた。 私の歌。 この人の声。 ――Ah! ça ira, ça ira, ça ira! 風の音。 この人の心臓の音。 ――les aristocrates à la lanterne! 風の涼しさ。 この人の温かさ。 ――Ah! ça ira, ça ira, ça ira! それでいい。 それだけでいい。 ――les aristocrates on les pendra! 今は、他には。 何も、いらない。 一目、見た瞬間から。 きっと、この気持ちが。 母が、亡き父の話をする時の―― 京太郎が特等席でたっぷりと歌を聞き終えた頃には、日もすっかり暮れて。 「――ふふ。ごめんなさい、熱くなっちゃっちゃいました」 「あ、いや……」 どうせ用事もなかったのだから、と言いたくても、呆気に取られたままの京太郎は上手く言葉にできない。 「今度は、あなたも一緒に歌いませんか?」 「へ? ええ!?」 そう言われても、自分はこの少女の名前すら知らないのだが。 目を輝かせて迫るどこまでもマイペースな少女に、京太郎は圧倒されっぱなしだった。 ◆ お年寄りに道を聞かれたので、付き添って案内してあげた。 途中でお年寄りが苦しそうに胸を押さえて蹲ったので、急いで救急車を呼んだ。 後日、我が家を訪れたそのお年寄りがどうしてもお礼がしたいと言ってきたので、着いて行ったら―― 「帰りてぇ……」 広い和風の屋敷に連れて来られて、案内された先はだだっ広い和室。 廊下ですれ違ったグラサンスキンヘッドのお兄さんや、服の隙間から刺青が見えているおじさんたち。 京太郎の想像が正しければ、あのお年寄りの正体は、間違いなく。 ついイメージしてしまったビジョンに、ぶるりと背筋を震わせる。 「……む? そうか、君が祖父が言っていた」 「え?」 がらりと、背後で襖の開く音。 振り向くと、そこには―― サトハ先生判定直下 1~30 成る程、確かに 31~60 ふむ、中々に男前だな 61~98 ふむ、成る程―― ゾロ目 ??? ふむ、中々に男前だな 「ふむ、中々に男前だな」 「え?」 凛とした雰囲気の、対面するだけで背筋がピンと伸びてしまうような少女。 何となく、長ドスとか持たせたら似合いそうだ。 「ん、ああ。すまない、私は辻垣内智葉という。先日は、祖父が世話になったようだな」 「祖父? ……ってことは――」 「そう、ここの一人娘だよ。年が近いもの同士、話もし易いだろうとのことでな」 ……いや、一人娘ってことは、智葉さんはこの家の跡取りってことで。 もし仮に、この場で智葉さんに何かあったら―― 「ふふっ」 「……え?」 「いや失礼。君は随分と分かりやすいな」 「分かりやすいって……」 「何も、取って食おうというわけじゃないんだ。そんなに緊張しないでくれ」 「はぁ……」 本当に分かりやすい男子だ、というのが智葉の京太郎に対する印象だった。 『お前のイイ人を連れてきたぞ』なんて、祖父に言われた時には心底驚いたものだが。 こうして彼と対面してみて、智葉はそれが祖父の冗談だということにようやく気付いた。 確かに彼の見てくれは悪くはない、むしろ好みの方だ。 幾つか話をしてみて、性格も好感が持てる。 だが、明らかに一般人の彼が、自分の連れ合いになれるとは思えない。 まぁ、もしも、彼の方から―― 「いや……何を考えているんだ、私は」 「?」 失礼、と智葉は咳払いを一つして。 「まだ時間はある。何か暇潰しでもしようか」 「えっと、それじゃあ――」 「――どうも、ありがとうございました。食事、美味かったっす」 「そう頭を下げないでくれ。礼をしたのはこちら側だからな――だが、君の気が向いたらいつでも来てくれて構わない。歓迎するよ」 「はは……」 リムジンで家の近くまで届けられた京太郎は、智葉に頭を下げてその場を後にする。 「三代目とか……冗談でも勘弁してほしいなぁ」 智葉の言うとおり、見た目は怖い人たちだらけだったが、話してみればなんて事はない、気さくな人が多かった。 ジョークのセンスが少しズレているのは気になったが。 「……にしても、麻雀かぁ」 暇潰しとしてお互いの趣味やら何やらを話している最中に出て来たキーワード。 智葉が最も得意とするもの、らしい。 二人しかいないので実際に打つことはなかったが、智葉の口振りからするに、かなり自信があるようだった。 「……俺も、始めてみるか?……なんてなぁ」 背伸びをしながら夜道を歩く。 見上げた月は、少しだけ欠けていた。 ◆ 「――へぇ。君が、ネリーの言っていた」 「……へ?」 後日。 京太郎が学食でうどんを啜っていたら、テーブルの真向かいにスレンダーな女性が座って声をかけてきた。 服装から察するに明らかに生徒ではない。 「成る程、成る程」 指を組んで、京太郎をじっと見詰めてくる。 次に、女性の口から出て来た言葉は―― アレクサンドラ監督直下判定 1~33 麻雀に興味はないかい? 34~66 いいな、君 67~99 欲しいな、君 00 ??? 欲しいな、君 「欲しいな、君」 「ぐっ!?」 予想していなかった言葉に、うどんの具を喉に詰まらせる。 慌てて水を飲み込み、ゲホゲホと咳き込む。 「な、なんすか一体……」 「いや、ネリーが妙に気にしている男子がいるからね。私も気になって」 「ネリーが……? ってことは――」 「そう。私はこの臨海高校麻雀部監督のアレクサンドラ・ヴィントハイム」 「監督……」 「ねえ、君」 その口調は、問いかけるものだけど。 「部活やってないようだけど――麻雀部に、来てみる気はない?」 その視線は、絶対に逃がさないと、告げていた。 【臨海出会い編 了】
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残念ながら、明日は良子との約束が先に入っている。 帰り際に、会うことを約束したのだ。 「申し訳ないですが、明日は予定が入っていまして……っと」 メールの返信を済ませ、携帯の電源を落とす。 今日は、よく眠れそうだ―― 良子に招かれた先はあるホテルの一室――というか、良子の泊まっている部屋だった。 大人の女性の住む部屋に一人で訪れるのは始めての体験だった。 妙にドキドキする。 「粗茶ですが、どうぞ」 「あ、ども」 「そして、君を呼んだ理由だけど――少し、準備が必要だから。待っていて? OK?」 「あ、了解っす」 カップの紅茶を京太郎の前に置いて良子は部屋の置くに。 一口啜っても、今一味はわからなかった。 「さて……待ってて、と言われたけど」 選択肢 1 大人しく待つ 2 ちょっと探索してみよう 1 大人しく待ってて、と言われたらウズウズするのが人の性。 何だか良い匂いがするし、色々探索してみたい気もする。 ……けれど。 「流石に、失礼だよな」 いくら何でもそこまで親しくない相手の部屋を物色するのは失礼極まりない。 言われた通り、京太郎は良子を待つことにした。 「お待たせしました」 「いえ、別に……へぁ!?」 部屋の奥から現れた良子は、永水女子のような巫女服を着ていた。 それも、恐らくはノーブラで。 大きくも形の良い母性の象徴がクッキリと浮き出ている。 まさに、立派なおもち。 ゴクリと喉が鳴る。視線が釘付けになってしまう。 「……じー」 「は!? いえ、大変失礼しました!?」 慌てて目線を逸らし、頭を下げる。 ついうっかり自分の立場を忘れてしまった。 「ふふ……触ってみる?」 「え……え?」 直下選択肢 1 い、いいんですか? 2 いや、流石にそれは……? 2 非常に魅力的な提案。 健全な男子生徒には耐え難い誘惑である。 「いや、流石にそれは……?」 しかし、自分は個人戦選手として東京に来ているのであって。 決して、女性の胸を触る為に来たのではないのだという意識が、京太郎の手を押し留めた。 視線は相変わらず良子の胸に固定されたままだが。 「そう、残念……まぁ、それで。君を呼んだ理由だけど」 「はい」 「お祓いをするよ」 「……はい?」 「お祓いを、するよ」 「いや、聞こえなかったわけではなく」 良子の格好を見た時からある程度は予想できたことだけれど。 面と向かって言われると、どうしてもフリーズしてしまう。 「まぁ、これからの景気付けみたいなものだから。リラックスしてればいいよ」 「は、はぁ……わかりました」 直下判定 1~80 何だか気分がスッキリ 81~00 ??? なんだか気分がスッキリ 先端に紙が括り付けられた棒やら、読めない文字が書かれた扇子やら。 京太郎には名前も知らない道具が用いられ、お祓いが開始される。 「……」 奇妙な道具を振りながら、ぶつぶつと聞き取りにくい言葉を呟く良子。 最初は胡散臭い雰囲気に身構えていた京太郎も、段々と眠くなって来る。 ウトウトと、瞼が降りてきて―― ――須賀ァッ!! 「っ!?」 久しぶりに聞こえた幻聴に姿勢を正す。 そうだ、これは自分のために行われていることなんだ。いくら胡散臭くても居眠りは失礼だ。 頭を振って眠気を飛ばす。 「……ッ」 良子の言葉の中に舌打ちのような何かが混ざっていた気がするけれど、きっと気のせいだろう。 『お祓い』が終わった頃には、京太郎の気分も普段よりスッキリしていた。 肩が軽い。 きっとこれなら、三回戦でもいつも以上の力が発揮できる。 ホテルのフロントで良子に頭を下げて、京太郎は自分のホテルに帰っていった。 「……次は、もっと強いものを」 その背中を見送る良子の呟きは、誰の耳にも届かなかった。
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